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目次

41)人のふんどしで相撲を取る人

店には店長の知り合いでゆうちゃん(当初28歳)がいつも遊びに来ていた、彼は誰にもよく話しかける気さくな性格だ、ある日に<マネージャーはどんな女性が好み>と聞かれたので、どちらかといえばポッチャリかな~と答えた~

それから一週間ほどが過ぎた営業中に・ゆうちゃんが声をかけてきた・マネージャーを好きだという女の子がいるので話をしてほしい・一緒に行こうと誘ってくる、まさか・冗談・冗談と一笑して断った<そんなことはあり得ない>

だが彼は手を引き連れて行こうとするので・まあ~いいかお客さんに挨拶でもしておこうと席には着くが、これと言った会話もないので挨拶言葉だけで席を離れる・ところが閉店間近にゆうちゃんが再びやってきた・あれ~まだ居たんだ~

彼女達が待っているから一緒に付き合ってくれという・えっ~しょうがないね~解った・じゃ付き合うよと言葉を返す~

それは一度だけではなかった、その都度にもういいよと断るが・彼は積極的だった・又か~と言いつつ~結果は全てが彼の思惑通りになっていた・

その時は考えてもみなかったが・数年後にふと思い出し~ハッと気づいた、これは彼の策略にはまっていたんだと・何のことはない・

<彼は自分の好みの女性を見つけては・ナンパしていたのだ>

こう言ったに違いない・マネージャーが貴女のことをすごく気に入ってると言ってる、呼んでくるから話をしてくれないかと、そうしておいて・お目当ての女性にアプローチをかける<おいらはただの餌だった>

😅やられた~人のふんどしで相撲を取っていたのか~

ゆうちゃんはナンパした都市銀行勤めの彼女と・結婚をした・

彼は上手の策士だったんだ~・うまくいったのは何も知らずに多くを語らなかったからなんだろうか。

42)バンドのオーディション

店は順調だしDJも慣れて楽しい日々が続いてた頃、プロダクションの招待でフィリピンに行くことになった、バンドのオーディション見学だとか

マニラ空港

初めての海外だ~主任の辻君と二人で機内の小さな窓から雲を眺めながら、マニラに着陸して空気を吸うとやはり匂いが違う・昔の日本はたくわんのニオイがしたという、やはり国によって匂いが異なるんだ。

空港ロビーを出ると数人の子供たちが寄ってきた・20人以上はいる、それぞれ散らばってマネーマネーと発しながら近づいて来ては手を引っ張っぱたりする・

小学6年生の時:同級生に誘われて博多駅に行った、改札口から出てきたアメリカ兵チェイン・チェインと言いながら追いかけて行ったことがある・結局は貰えなかったが・中には貰えた子供もいた。

当時福岡空港には米軍基地があり多くの米兵がいた、1ドルが360円の時代なので米兵にしてみればドルは日本円の3.6倍の価値になる。

マニラのホテルに着き外に出ると広々と樹木が茂っていた、そんな中に一人の男が何かをするのでもなく立っている、翌朝に窓を開け外を眺めると昨日の男がバケツの水を体にかけている、えっ~彼はこの場で寝泊まりしてたんだ~

朝食のバイキングを終えて迎えのマイクロバスで会場へと向かう、大型ホテルの大広間は大勢の人達でごった返している<ゲスト席は最前列だった>他県からの招待客も20人ほど・後部には現地の人達が立ち見で入りきれない~これはマニラ年に一度のオーディションなんだとか~

<三日間の開催で午前10時から深夜まで続く~これは付き合いきれない>

プロダクションからプログラムを貰い、必要時に見学させてもらうことにしよう<歌手・劇団・バンド・コント・手品>と何でもありのオーディションだったが肝心のバンドの演奏がない・

バンドは楽器とかで時間もかかり無理なんだ~:ステージでは聞き惚れるほどの歌手もいた、シェイクスピア悲劇ワンシーンを目前で演じてくれた・劇団の迫力が凄かった・

<参加者の全員が必死に挑む姿を肌で感じ取れた>

 二日目の休憩時だった・会場に入れないので通路で音や雰囲気を楽しんでる人の中になにか戸惑っているような女性が居たので・なにしてるの~と声をかけた・

外に出て話をすると明日に私の家に来ませんかと誘われた・時間も余っているのでいいよと返事をする・次の日彼女の家に行って昼食を戴くことになった、お母さんが料理を作ってくれた。

魚の煮付けと少々のおかずを戴く・6才位の男の子が傍でジッと魚を見つめてる・そうなんだ・これはごちそうなんだ~と感じたので魚を半分残すと嬉しそうに食べてくれた、部屋は6畳くらいの土間に三畳程の板場・子供は土間で寝てるようだ・温暖気候なので楽なんだろう・フィッリピンの家庭を見せてもらった。

その後に動物園に連れて行って貰う、孔雀・ワニ・象はいたが数も種類も少ないが人で賑わっている、家族連れで子供たちも嬉しそうに楽しんでいる、感じたのは子供たちの表情が輝いて見える・キラキラと・なぜなんだろう・皆さん素朴で笑顔を返してくれる・のんびりできて良かった・

<オーディションは有意義な体験だった>

43)モノの価値観は人による

新しく入れ替わったフィリピンバンドのリーダーテナーサックス奏者だった・おいらもテナーサックスを持っている・博多のクラブにいる時・ゲスト歌手に何か楽器をやりなさいと勧められた、

その気になってローンで SELMER・テナーサックスを買ったのはいいが・音が大きくて練習場所がない・海か山にでも行かなきゃ~結局は”ドレミファソラシド”だけを覚えて:飾りモノになってしまった。

リーダーのサックスを見せてもらうと、かなり古びてボロボロだったが彼には精一杯の買い物だったに違いない、おいらがサックスを持ち続けても<宝の持ち腐れ>で終わりそうだ、売ればお金にはなるが・お金は使えばなくなる・モノ

彼に譲れば”宝物”だ~フィリッピンで買えば贅沢品扱いになり、関税が高くて実際価格の何倍になるとか・とても手を出せる品物ではない、当時のフィリッピンの生活費は¥3000~¥6000で家族が生活できた。

そうなのか・じゃ~君の持ってる何かと交換しよう・彼の腕時計は屋台商品だったがタダで渡すよりも気持ちは楽かも~と交換した・彼が持てば価値観が高い・国へ帰れば売るかもしれない、売れば家が買えるかも知れない・ならばそれでイイ・おいらの飾り物よりもマシだ~

<わずか3ヶ月の演奏だったが・人の出会いは解らない~>

フィリピンバンドには追っかけの女の子がつく<バンドに憧れた彼女たちは帰国の際に一緒について行く>現地で出産した子供たちは何千人もいる・そんな女の子も今ではおばあちゃんになって孫がいるんだろうな~これも人生・あれも人生『色んな生き方がある』

44)その人は偉い人だった

国会議事堂

ディスコのお客さんは当然の如く若い人が多い・その中に無縁の雰囲気の人がいた・見るからに土木建築業の社長そのものだったが・やはりそうだった・挨拶をすると言葉が返ってきた。

会員制スポーツ倶楽部の女性インストラクターがディスコに行きたいというので連れてきたとか・当人は踊りは苦手で見るだけ・時間を持て余しているようなので会話に付き合った~

当日の閉店後・午前一時過ぎに出発~車はアメ車のフォードマスタングだった・やはりハデな車がお好みのようだ・女性インストラクターも同乗していた、さあ~行きましょう~阪神高速を走ってると<何時ごろに着くかな~>と尋ねられ~7時半くらいじゃないですかと答える。

京都から栗東過ぎると前日の雪が溶けて氷水になっていて車が横滑りした、これはハイドロプレーニング現象だ(タイヤと路面の間に水膜ができ車が浮く

いつも高速道路を走る速度は110kmが一番楽なんだが・この速度はハイプレ現象が起きやすいので~90kmにしよう・コレで滑りはなくなった・後部座席の二人はウトウトと眠りに入っている。

都内に着いた~計算通りの7時30分だ・場所は赤坂のマンションだとかで地図を広げる、地図を見るのは得意な方なので難なく行けた、約束の時間は11時半なら・まずは喫茶朝食をとり少しばかり仮眠を取ろう~

11時過ぎに近くの駐車場に車を止めて歩きながら・誰と会うのですかと問えば・元衆議院議長松田竹千代さんだとか、へえこりゃあ驚いた~政治家に会うのは初めてだ~それも大物だ~どんな人なんだろう・

重厚な高級マンションに入り扉が開かれた・奥さんは応接室へと~奥さんは年輩なのにシャッキとして姿勢が良い・微動だにしない雰囲気がある・応接室の対面ソファーに社長と座ってると元議長さんがやってきて正面に座った・

あ~この人は後光が差して見える・姿勢も動作もスキが無い・全然スキがない(この時は80歳を過ぎてた)

後光が差して見えるのは窓の光を背中側に・座る位置取りをも計算づくなんだろうか?・スゴイ・

社長はご挨拶ですとおみやげを渡していた・奥さんが何かご用意しましょうかと元議長さんに声をかけると<いつものBを頼む>ハイかしこまりました・そつのないしぐさに感心をする・

そして二人の会話が始まり、選挙の話のようなので興味がなく・室内の雰囲気をそれとなく観察した・ソファーや家具の品定めや位置取り・周囲の装飾物を自然と目を向ける・

間もなくすると・いつものがBが届いた<うな重だった>なんとなくではなくなんだと感じる・社長はいきなりガツガツと音を立てて食べ始めたが・おいらは静かに戴いた

会話の終わりごろに元議長さんから・おいらに声がかかった・君は女性票が取れるな~意味も解らず一礼をする・なるほどそのような目線を見るんだ~

一時間半ほどの”瞬間”だったが何か貴重な体験を得たように感じた、それにしてもご夫婦の姿勢の良さには驚かされた・年齢とはほど遠い威厳がある・こんな人に出会ったことがない・これが政治家なのかな~

奥さんはお客様の前ではご主人の威厳を大切することに留意し、お二人の時には仲の良いご夫婦ではないかと察する・80歳を超えた夫婦に・感じた~

そして社長が元議長さんに渡したおみやげ<あれはなんとなく・マスコミとかでよく出る>選挙はお金がかかるという・菓子折りの中は・もしかして・お札入りだったのかな~<選挙の挨拶にお供した>

人を見る目線

博多で30余年ぶりに会った同級生は長年もの貸金業を営んでいた・彼いわく・道を歩いていても<あの人はお金を借りる人・あの人は借りない人>見分けがつくのだと云う<面白い>長年も携わるとそんなことが・身につくんだ~

店長の知り合いと

やってる手元の配牌が一枚足りない<あれ~どうして・少牌してる>これじゃゲームにならないので流れるまで放棄しよう・こんなことはあり得ないのだが・

なにかおかしい:注意深く確認しながらやってみたが<少牌か多牌になっている>ごまかすのが嫌なので三度も満貫分の罰則を払うと、その中で一番若い人も少牌で一度罰則を払った・この若い人は真面目なんだ~と感じた・

これは誰かが仕掛けてる~と感じたので<頃合いを見計らって辞めた>仕掛けたのはそこのトップだろうな~二番手の男は知って黙認するはずだ・ゲーム自体も流れが多かった・イカサマを仕掛けて上げりも出来ないほどに下手なんだ~

イカさまをやれば誰が仕掛けたか・冷静に考えるば解る<信用をなくし恥をさらしてる自分が見えないようだ>それとも信用なんてどうでも良いと思ってるのがこの業界なのだろうか・真意はわからないが、この人達とは水が合わない。

<こんなトップの下で務める・若い人が可哀そう>

45)やっと10年間勤めることができた

バーテンダー時代から色んな女性観察できた・女性はのつく歳『19才・29才~49才』とかは行動が活発になる<大台に乗る前に楽しもうとの思惑なのか>翌年のは一気に10歳も年齢が増すように感じるようだ~

閉店後にナイトクラブに行った

会社勤めの人は退社後に居酒屋・スナック・キャバクラ・ラウンジと色々あるが・夜勤めは深夜営業の店に行く、当時は生演奏のナイトクラブが何軒かあって飲んで食べて踊れた~

この夜は閉店後にナイトクラブに遊びに行った、席で一杯飲んでダンスフロアーに目線を向けると目立っ女性が一人いた・金髪で背も高く一目でアメリカ女性だとわかる・踊りのパートナーが見当たらない・どうやら一人のようだ・好奇心が湧いてきた・ゲットしよう!踊ってる彼女の傍に行き笑って目を合わせた・

傍で踊るジルバを踊ろうと言ってきた、以前に少し憶えたが忘れてる・じゃ教えてと手を伸ばし一緒に踊ったが・彼女はタフだった・休むこともなく踊り続けた・疲れるが、しょうがない~付き合った・

そうこうしているうちに閉店時間になり一緒に帰ろうと誘うとOKだった、彼女は女子大生で一年間休学を取り来日ポールダンサーをやりながら各地を廻っているという・体にも自信があるようだ~三時間ほど過ごしてさよならした。

DJでわかったこと

スナックやキャバクラとかで流行る店は従業員の良し悪しにあるが、ディスコはDJの技量が左右するということも<やってみてわかった>選曲も大切だがが・飽きさせない流れを保つポイントは3分20秒前後で曲を変える>長すぎると踊りに飽きがくる。

DJをやりだしてオトキチになったようだ・アンプ・スピーカー・部品を何度も買い替えた<音の拡がり・透明度・粒立ち・繊細さ・響き具合・低音の締まり・高温の伸びとかが判断できる~と言うよりもプロ級になったようだ・

音響メーカーで音質に特徴はあるが<音質にこだわれば切りがない>高級品を揃えると1000万以上もかかる・とてもじゃないが手を出せる代物ではない・お金が余ってる人が買うのだろうが~物理的に考えればそこまで必要性はなく<こだわりもほどほど>が正解のようだ。

ライブコンサートにもよく行った・フェスティバルホールには10回ほど行った・ロック・ディスコサウンド・ソフトなリチャードクレイダーマンとか~だがこの時代の歌謡曲は聞く機会がなく・ほとんど知らない・

店ではゲスト出演もあった

アメリカの大会で優勝したプレスリーのそっくりさんが出演したり、もんた&ブラザーズがダンシング・オールナイトをステージで演奏したこともあった。

プレゼント企画

お客さんに賞品をプレゼントしようと、若い人が好みそうな自転車や電気製品<総額40万円>ほどのプレぜントが入口に飾られた・これは良い企画だな~と楽しみになった、お客さんに抽せん用紙に住所・名前を書いてもらうのだが<これが一人一回だとか>これでは来店数の多いお客さんに特典がなく・お返しが出来ないと感じたが・

そして抽選日:200人以上が店内にいた、おいらが箱の中の抽せん用紙を取り出し《一等の番号を発表します~》番号0000番で~すと声を張り上げたが反応がない・二等も三等も反応なし・六等でやっと一人当たった・小さな拍手があった・皆の残念そうな表情が見て取れる・ガッカリだった!お客さんを裏切った思いがした。

それから一週間後に一人の女性がハガキを持ってきた<これが届いたんです>見ると二等が当たっていた<おめでとうございます>と言い・聞けば奈良県から始めての来店だったと<そして半数の賞品が残った>

店長に提案をした・来店ごとに抽せん用紙を書いて貰い、抽せん用紙多い人に当たるようにしませんか、これなら常連さんに貢献できる・抽選日は大いに盛り上がって喜んで貰える<答えはNOだった>二回目は副支配人の高橋君に抽選を任せたが・結果は前回と同じだった・

お客さんに喜んでもらえる企画が逆効果になったような~残念

そんなこんなで勤めてから10年になる・年令も40才になった・いっぱい楽しんだ・店のマイクロバスでレジャーや慰安旅行で若い仲間とよく遊び笑った・サウンドに包まれ・お客さんの楽しむ姿を眺め・毎日がウキウキ気分で夢のような日々を過ごさせてもらった!《ありがとう:ディスコB&B》

♪ やれることはやった悔いはない・退職しよう・やっと自分の意志で辞めれる・

46)ホストクラブを開店する

10年勤められたことに感謝をし・さあ~何をしようかな~やっちゃんに会いに行くとホストを辞めたところだった、近くの居酒屋で話しを聞くと彼はホストクラブをやってみたいらしい・そうなのかと考えながら・じゃ~やってみようか~

宗右衛門町通り

ホストクラブの実態を垣間見るのも面白いかな~と好奇心もあってか出資することにした、高級店はできないが何とかなるだろう・宗右衛門町通りのスナックビル3階で20坪の物件に決め・9名が集まってくれた・後は彼に任そう。

ディスコを辞めて2ヶ月後に店はオープンした、当初は彼の友人ホストとかがお客さんを連れて飲みに来てくれたりで賑やかだった。

ホスト好きなホステスは結構いるようだ~風俗女性も仕事を終えて来店してくれる

有閑マダムも来店するが・この方たちは飲み方が違う・あまり高いモノではなく中間のモノを注文をする、飲む時もご自分が飲むのではなくホストに飲ませる、つまりは商品の品定めするように・

友達と来店すればアリバイになる・お友達のOOさんとお食事に行ってきたの~と言い訳になる、2・3回来店した時に決めたホストとお友達の4人でゴルフに行く・万一を考慮をし慎重にコトを運ぶようだ。

ご主人あってこその家庭であり・自分を失わない・そして店には余りお金は落とさない・ムダ金は使わないが元は取る・心得ているように思える。

そして気に入ればお次は海外旅行へと旅立つ、ホストと二人で行くマダムもいれば、信頼できるお友達と4人で行く時もある・帰宅して家族に見せる写真はお友達と一緒の風景になる。

40代も過ぎれば子供も手を離れ時間を余してくる、お金と時間に余裕があれば『人生は一度きり・私もドラマの主人公になってみたい』と思うのも理解できる、男性は愛人願望を持ち・女性も何がしらのペットが欲しくなるのだろう・

クラブも最初は賑わいはあったが、徐々に暇になって来た、長く続けたとしてもプラスにはならないだろうと一年を過ぎてやっちゃんに譲ることにした、それなりに見学は出来たが・この時に多少の借金が残った・

47)愛人バンクをやってみよう

初めて借金を抱えた・さあ~どうしよう・勤めに行っての返済は無理だ~以前に働いたデートクラブが頭をよぎった・まさかそんな仕事をやるとは~あれも何かの縁かも<背に腹は代えられない>双方が合意だし被害者もいない、スポーツ誌にはデートクラブの広告が載っている<変に自分を納得させた>やってみよう・

この時に二人のホストが辞めて付いて来てくれた・二人にノウハウを説明をするとやっても良いという、じゃ~始めよう・千日前にマンション2室を借り・二人で二店・個人経営の印刷屋にビラを作ってもらい、バイトのビラ撒きと電話ボックスとかに配布を始めた~その日からバイト女性も入店してきた。

おまけにお客さんから電話が入る<反応の速さには驚いた>これならうまくいきそうだ(この時・その様なモノはなかった)

じゃ~おいらは似たり寄ったりの愛人バンクでもやってみようか・心斎橋周辺ならお客さんも安心感があるだろうと東心斎橋のマンション一階入り口の部屋を事務所にした・電話応対の女性を募集してスタート~

料金設定は男性側から会員登録料5万円・紹介料を15万円・2回目からの紹介料は8万円に設定・まずは女性を集めなくちゃ~これが先決だ

スポーツ誌に<月極交際を希望の女性を募集します・パートナーは会社経営・お医者さん・事業主の方々です>このような内容の募集をかけてみた~

すると来るは来るはで200名以上の登録女性が集まった・ビックリした・理由は心斎橋近くなので安心感があったとか・やはり思惑通りだった・

女子大生・会社勤務・家事手伝いとか色々といるが実際は解らない<家事手伝いはひょっとして主婦かも>まずは面接で女性の希望金額を聞くと・判を押したように月1~2回逢って20万円以上を希望~

これは厳しいと感じたのでひと言付け加え~男性側はデート費用とかもあり15~18万円位にすればと・10人中8人はじゃ~そうしますだったが・そのまま希望を通す女性もいた・干渉はしないので・希望通り設定にしといた。

全員の写真・年令・希望金額とかのプロフィール一覧表を作成した<コレで準備完了>次は男性募集だ~・これもスポーツ誌に《若くて綺麗な女性が月極め交際のパートナー求めています》の広告を出してみると・

掲載した日に電話がかかってきた・反応が早い・一番乗りは本町で会社経営の50代社長さん<風体も顔色も私は社長です・そのまんまの雰囲気だ>プロフィールを見せて女性を選択してもらい・面会日と時間を決めて貰った・

<面会はシティホテルのロビーラウンジ・逢ってもらうと即OKだった>

毎日面会<みんな即OKになる>それも値下げをしなかった30万円希望の女性から決まってゆく・交際金額とかはどうでもいいようだ・何も考えることはなかった・和気あいあいで双方ともに楽しそうだ~

4日目の昼頃に一番乗りの社長さんがひょっこりと顔を出したので、あれ~何か問題でも起きたのかな~どうしましたかと尋ねると・もう一人欲しいというのでこれまた翌日に二人目を紹介する・

次は紹介済みの女性がきた・あれ~どうしたの~<二人目の男性を紹介して欲しいという>さあ~どうしよう、信用は失くしたくない~考えた結果は二人目同をくっつければ良いんだ~似た者同士でうまくいくかも・結果その通りだった、面白いもんだな~

広告も面白いと感じた:募集時にお医者さんとかの文面を入れるとお医者さんがやって来る、経営者と入れると経営者がやって来る<日本人特有の『人がやってるのなら』じゃ~俺もって主義なんだろうか~

<一度は愛人なるモノを囲ってみたい>そんな思いを抱いたお金持ちが足を運んでは感想や意見をも述べてくれた>

世の中には社員の給料以上を女性に使う<そういう人達が結構いるんだ>この仕事は広告を出せば顧客も適当にやってくる・やってみなきゃ解んねえもんだな~

他にやることは~似たり寄ったりの出張ホストはどうだろう・モノはついでだ・これもやってみようと・堺筋通りの一階に小さな事務所を借りた~

それではと男性募集をスポーツ紙に出してみる(素敵な女性の相手をしてくれる出張ホストを募集しています)みたいな内容だったが、これも掲載したその日から早々とやって来た・おもしろい・

登録料一万円を支払ってプロフィールに載せる<女性がプロフィールを見て選んでもらえれば、連絡します>と説明をすればみんなYES一万円を置いて行く、多分一万円なら捨ててもイイと云う考えのようだ~

同時に女性募集の広告を出す(優しい男性が食事・ショッピング・ドライブ・他のエスコートします)これは月に2~3名しか来ない、これでは待機中の男性が可哀そうだ~まるで詐欺見たいなもんだと感じたので・3ヶ月で辞めることに

これも多種多様な職業や年令層の男性がやってきた、まさかこんなお堅い職業の人が~そんな人達が月に100人以上登録料を置いて行く<坊主丸儲けとはこういう事か>他にやってる人はいなかった。

<返済金はすぐに終わった・勤めならこうは行かなかっただろうと・納得させた>

後に博多で出張ホストに・女性と共謀で難癖をつけては罰金を取るという・悪徳業者が登場し億単位を稼ぎ摘発された、よくもそんな事を考えられるもんだと変に感心・人はさまざまなようです・

48)マルチ商法のセミナーだった

ディスコに勤めていた時の後輩から連絡がきた<良い勉強になるセミナーがあるので一緒に行きましょうとの誘いだった>自己啓発セミナーとかは行ったことがなく・勉強になるなら・付き合ってみよう~2泊三日で4.5万円だった。

箕面市だというので電車で行くことに・山裾にある古い宿舎みたいな所だった・昼食を済ませ午後一時に会場に入ると、そこには兵庫県・鳥取県とか他府県からも20~60代が150名ほど集まっている、関係者は12名ほどがいた。

<会場の正面上にクルーザー・セスナ機・高級輸入車の写真が飾られている・これって何の意味なんだろう>

やがて講師が現れて始まった<成功への道のり>デール・カーネギーの名言・格言を取り入れて黒板に成功への手順を書き示してる・3名の講師がいたがいずれもその道のプロのようだ・講義の道理を心得ていた・おいらはこの頃<経営コンサルタント・田辺昇一さん>の本を読んでいた)

《講師は社員ではなくセミナーに雇用されている専門家なんだと感じた・これは勉強になった》

三時間ほどの講義が終わり・関係者の話の後に<ゲームが始まった>各列10名が15組に別れ・最前列の人に言葉を教える➜後ろの人にそれを伝える➜タイム内に最後尾の人が最初に伝えられた言葉と一致すれば成功終了になるが、全組が成功するまでは解散をしないとか・

一番早い組は三回で成功したようだ・おいらのチームはどこかで間違うようだ<一度集合して・提案をした>最前にしっかりした人を置こうと・そう言うとあなたがやってと云われ、おいらからスタートした・その後2回で成功した・

ところがいつまで経っても成功しない組がいて全員が待たされる・20時頃にやっと全組が成功して終了になった・解散前に宿題があった、あなたが一番欲しいモノ、望むモノを10個書いて明日は全員の前で発表するように・・

チームワークや辛抱を教えるようだ・が・ある種の催眠術に感じる

21時に夕食を終えて各部屋30名がせんべい布団に入り・それぞれが欲しいモノを頭に描いて書いている・皆さん何が欲しいのかな~何を書いているんだろ~コレでその人を知ることが出来るんだろうな~はてさて・と思いながら望むものを書いた・11時半を過ぎていた・・

翌朝8時に全員集合:各順番に宿題を発表しだした、ほとんどの人はこのような家が欲しい・このような車が欲しい・奥さんにダイヤの指輪を買ってあげたい・中には新しい自転車が欲しいと言って笑われる人も・順番が回って来た・

これは主催者の意図とは真逆になるが<自分の主義を曲げたくない>

私が欲しいのは物ではありません:モノは古くもなれば壊れもします、無ければ代用品もあり、働けば得ることができます<不自由しなければよいのです>一時的な楽しみを与えてはくれますが・幸せとは別物です。

望むことは好きな人と笑って暮らせる家庭生活とやりたいことをやれるという環境を持つことです・をテーマに語った・二人が拍手をしてくれた・その後に一人だけ精神論を語ってくれた人がいた、良かった~同じような人がいてくれた・

全員の発表が終わり・場内は厚手のカーテンが降ろされ暗くなる・音楽が流れて瞑想の時間が始まった・プロの催眠術師のようだ・集団催眠の時間になる・何やら欲望をかき立てる言葉を並び始めた・

それが終わって会社概要の説明が始まった:一部上場企業であり会社四季報にも掲載されている信用ある会社で・日本健康OOOOという・そしてこれが今回のメイン商品ですと《ベッドマットと布団セット》が持ち込まれた。

マットは特別素材の製品で健康に良く安眠が出来ます:金額は布団等を含めて24万円という・おいらは子供の頃に真鍮と合金の振り分けができていた<モノを見る目は鍛えられている>これは製造原価の低い商品だと一目で解った、こんなものを誰が買うんだろ~

このベッドマットのセットを買えばシルバー会員になれる・これを知人に売れば買った人もシルバー会員になれる<バックマージンが入る>10人に売れば・買った10人はあなたの子会員です・その子会員が売ればあなたの孫会員になります・このシステムが孫・孫と続きます、子会員・孫会員の売り上げの数パーセントが増収になります。

あなたは寝ている間に高収入が得られます・と話は続いてゆく・あの写真にあるクルーザーや車はみんなプラチナ会員の所有物です・あなたがプラチナ会員に昇格するのは夢では有りません・と歌う・あの写真はそのためだったのか・

★ 会員を増やせばシルバー会員から・ゴールド会員・プラチナ会員と昇格するようだ。

それでは皆さんもシルバー会員になりましょう・先ずはこのサンプルを買いましょうだった・なるほどそういうことだったのか・

予想外だった!みんながシルバー会員になるんだと・我も我もと高額なマットセットを買おうと70人程が並んだ(壁には某政治家と会長の写真が飾ってあった)

催眠術は人が多いほどにかかるというが・・

49)遊びで人を知り・世の中を知る・

いつしか勤めていた頃と自営の収入格差感じるようになっていた・毎月車が買える収入が入ればやる事は遊びしかない、それも勝手知ったる水商売ならば・自然と飲み歩きに足が向いて行く・学の無さと無教育が行動にでる・なりゆきかも・

大阪はクラブも一見さん(初めて)を入れてくれる、色んな店を見てみたいと飛び込んで・はしご酒をしてると・あるクラブで話の合う人に出会った・おいらよりも10才年上の加藤さんは気前が良くておごる事が好きだった、2度目に会って飲んでると会社に遊びにおいでと言われ、それでは明日の3時に行きますと返事をした。

そこは梅田駅前の第3ビル・当時西日本一の高層ビルだった、広いエレベーターに乗り20なん階の会社のドアーを開くと、入口にディスプレイ ショーケースがあり、中に<ピカピカに光っている鍋セット>が飾りモノのように置いてある。

会社の販売商品は22万円の鍋セットだとか《そう言えばテレビCMで一度見たような気がする》だけどそんな高い鍋を誰が買うのだろうと思ったりもしたが・

エレベーターが社内を見渡すと女性オペレーター20数名がデスクで電話応対をしている、社長室に入り雑談を交わしてると・・ア~そのシャツいいね~これと交換しようか・え~いいですよ~と二人が着ていたシャツを交換した、なんと楽しい人だ~

下の階にも友人がいるんだ~一緒に行こうと誘われ、階段で降りてドアーを開くと、ここのショーケースには<金の延べ棒が飾ってある>《おいらの目からは偽物に見えたのだが》ここにはオペレーターが30名ほどいた、社長は博多出身で39歳と若かった。

この会社は金の販売だという、社長室のあっちこっちに何種類かのパンフレットがあった・豪華なパンフレッだ!いかにもブルジョア的に制作してある、二人が会話を交わしてる間にパンフレットを読めば・・

購入者には金の商品は渡さず債権のみを渡し・利回りがあるように書いてある・おいらは内心これは詐欺見たいなもんじゃないかと感じたのだが・

そろそろ出かけようかと駐車場に行くとやはりメルセデス・ベンツだった・車内で二人の会話を聞いていると風俗遊びは尋常ではない、当時TVのCMに流れていた風俗店に行っては一番広い特別室で21時頃から翌日の昼頃迄・次から次へと女性達を呼んでは、飲んだり食ったりで乱痴気遊びをするとか、へ~一体いくらかかるのだろうかと考えてみたが・所詮はあぶく銭だからな~と思いつつ・世間にはやはりこんな人達がいるんだ。

加藤さんは同じ第3ビルの最上階にある豊田商事の永井会長とも知り合いだった・この豊田商事は《金の現物まがい商法》で全国の高齢者を中心に数万人もの人を騙し、その被害総額は2000億円とかで大事件を起こした人だ。

この永井会長は殺害されたが・この事件には裏話があると云われている・安アパートで殺害されたのは風体の似た別人で・殺人犯は雇われだった・永井会長本人はすでに香港に逃亡していたとか・

当局としてもこのまま事件を解決に至った方が都合が良い・これ以上追及しても経費もかかる上に逮捕も出来るかどうかも解らない、深層は定かではないが裏取引があったとも・これは一理ある、世の中には2000万円も渡せば何でもやるといった人達はいるものだ・

この時の社員が数十年後に詐欺を起こすと云われていた

天気の良い春先だった

一人ぶらりと御堂筋を歩いていると、昔の上司山中さんに出会った・いい話があるんだ・面白いモノを見に行こうと誘われついて行くと御堂筋通りにあるビルに入っていった。

エレベーターが開くと<広めのフロアーは豪華で煌びやかな雰囲気だ>多くの人で混雑していた、あっちこっちに置かれたショーケースにはダイヤモンドや数々の宝石が賑やかに飾られている。

これが人気の35万円とか指をさしたが《4~5万円にしか見えなかった》ダイヤモンドはグレードもあり素人目には解らない・だが<おいらは宝石には結構詳しいのだ>誕生石も全部言えたし、色・濃度・カットで多少の判別もできた。

山中さん曰く、これは儲かるビジネスになるんだと説明するが聞くほどに読めてくる・マルチ商法だな~興味がないな~右も左もこんなのが流行っているのか~・何か世の中にガッカリした・

詐欺商法のやり方も解ってきた ①有名企業等の類似名を使用する ②会社は見映えが良いところにする ③宣伝に金をかけるようだ・これらの商法は延々と続いて行くのだろうが・人を騙せばやがて寂しい人生が訪れるだろうに・

おいらは人を騙すことには向いていない・嘘をつくと顔にも出る・人を騙せば罪悪感が風船のように膨れる、そんな生き方はしたくない・一生悔いが残る・

例え法律に違反しても顧客の同意で喜ばれる仕事もある、身勝手な考えかも知れないが<これなら納得できる>そう考えることにしている。

♪  人はいつしか必ずや再会する時がやって来る・その時に笑って会話ができるかどうかである・

50)夜遊びの途中で・・

日々繁華街を出歩く中でまず最初にやることは靴磨きだった、今では道路交通法違反で排除されてしまったが当時は人通りの多い場所を選び、おじさんが折り畳み椅子に座って靴磨き道具を脇に置き・客待ちをしていた。

15分程の靴磨きで1000円は今考えると結構イイ儲けになっていたようだ、上手な人とそうでない人もいたが靴のつま先はピカピカになる・それが終えるといつもの喫茶アメリカンとかで親友の健ちゃんと時間を過ごす、喫茶店はいつも繫盛していたし今の時代よりも優雅だったような気がする。


夜になると飲みに行く途中に<道頓堀川の相合橋>を渡る時がある、この相合橋はその昔に遊郭があった由縁で男女が渡ると《縁が切れる・縁切り橋》ともいわれていたようだ、この相合橋の中ほどでいつも物乞いをしている夫婦がいた。

服装を乞食スタイルにまとい・春夏秋冬いつも座っている・雨や悪天候で人通りが少ない時は早じまいをする時もあった、ご主人だけの時もあれば奥さんの時もあり・夫婦一緒の時もある・ある時は幼子を抱いていたが、いつしか成長して小学生になっていた・家族・稼業だった。

この夫婦は20年近くはやっていたような気がする、夕暮れ近くになると薄い座布団の上に座り頭を45度に下げたままジ~としている・目は閉じていないようだ・

出勤前のホステスやお客さんが小銭を入れて行くのだが、30cm程の箱の中には最初から小銭がパラパラと入れてあったり、21時を過ぎると酔客が小銭を投げ入れる、中には千円札もあるが二枚までで三枚以上は懐に入れる、これも誘引する作戦なんだろう・ホステスの中には毎日小銭を入れる<常連客>もいた。

やはり12月は稼ぎ時のようだった一万円札が入ってるのを見たことがある、おいらもたまに小銭を置いて行くのだが・ある夜に千円を置いてみた・するとわずかに頭を下げてくれた、なるほど《人には頭を下げないがお金には頭を下げる》これは武士の商法という言葉にもあったようだ・

幾年か過ぎた頃に噂が流れてきた・実はあの人たちはお金持ちなんだよ~家も石切神社の上の方で一軒家に住んでるんだって・・

そうなのか・長年勤め上げてお金を残したんだ~沢山の人々を観察してきたんだろうな~どんな人が恵みを置いて行くか否かの判別できてたんだろう、幼児の時から小学生の時まで時々座らせたのはお金の大切さを身をもって教えてたのだろうか?

そして:うわさが流れ始めて2年程を過ぎた頃・姿を見せなくなった・家業は辞めたようだ<みんなが知らないほどの高収入になっていたのかも知れない>

P-6に続く

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