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61)仕事とは何だろう・・

若き頃:実家の呼び出しで離職を余儀なくされ、再び仕事を探す時に・自分に合った仕事は何だろう?と考えたことがある<結論はやって見なけりゃ解らないだった>なに事もやれば慣れてきて<苦にならなくなる>自分に適してるかどうかの判断はその時に感じるかも・これは考えてもしょうがないに至った。

もし仕事をしないで一生暮らせたら幸せなのか<それはあり得ない>25歳の時に4年ほど自由生活を体験したが、いつの日か社会から取り残されている自分が見えてきた、すると『空虚間』で心に穴が空いたような気持になった。

この時に

やがて:働かない生活なんて面白くもおかしくもないんだと知った>職種は何でもいいのだ・やることに意義があると

現在は資本主義経済社会だ<お金で世の中は動き・競走は当たり前>当然の如く格差社会になる、個人的には現代社会よりも原始時代に憧れを持っていた<男どもは狩りや漁をする・女性は料理をして平等に分け与える>

仲間や家族の争いもなく自然環境の中でみんなと暮らせる・物欲を必要としない自由生活だ・この先に何かしらで人類社会が滅亡すれば・再びやって来るかも知れないが・アハハ・

62)何でも経験してみよう

さあ~そんなことよりも・次は何をしようか、この頃には仕事に対する概念がが変わってきたようだ・生きるために働くではなく<遊びも仕事も同じではないか、人生もゲームみたいなモノ>ようはどのように日々の時間をつぶして楽しむべきかと・

<勤めていれば時間と労力の提供が報酬になるが、自営ならば好きなようにできる>

この際に色んなことをやってみようか・そういうことができる仕事は・と・便利屋なら~なにか知らないことも多々ありそうだ・やってみよう。

借りていた心斎橋の事務所で便利屋を始めることにした、まずはスポーツ紙に便利屋の広告を出して《引っ越し・掃除・浮気調査・お手伝いから困りごとまでなんでもやります》とりあえずはこんなとこかな~・スタッフも募集で2名が来て4人になり・5人態勢でスタートした・まあ~なんとかなるさ~

広告をだすと・来た来た~早速引っ越しだ~それも毎週土・日には依頼がある、トラックがないので格安のレンタカーを借りて運んだとしても利益にはなる。

ところがいざ引っ越しをやってみるとスゴク体力がいる、単純なようだが作業工程が多い、包装・持ち運び・積み下ろし・階段の登り降りとか立ったり座ったりで全身を動かす、一日三軒の引っ越しをやった時はクタクタだった。アハハ!

数ある仕事でも引っ越しは相当にキツイのではないかと感じた、オフィスの引っ越しも大変だ~何しろ物が多く、必要ないものまで運ぶことになる<沢山・汗を流した>

引っ越し依頼が多いので・いっその事引っ越し業を始めようかと調べてみると、こりゃ出来ないわ~トラック何台から駐車場・従業員の寮とかの設備が必要だとかで・なんとも許可条件が厳しい・これは一億はかかるだろうに・・

なるほど《これが世の中の仕組みなんだ》と知る・・既存の業者を守るために簡単には新規参入はさせないようなってるんだ、よくある何とか組合とかはそういうためにあるのか~政治献金とかも絡んでくるわけだな~知らなかったな~

この日は東京の業者から電話がかかかってきた・ある調査をお願いしたいしたいとのこと<新聞広告に掲載されてる便利屋は他になかったので依頼が来たようだ>

大阪へ出張すれば時間と経費もかかるが現地の便利屋と連携すれば安くおさまる・と言う訳で調査は無事にこなしたが・東京の業者なら依頼者に出張費を含めた請求額をするだろうな~これも当然かも・しっかりしてるからな~

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この日の最初の電話は若い女性だった<枚方の方まで鳩の掃除に来てほしいんですが>ハイ承知いたしましたと一人のスタッフに《どんなことでも何でもやります》ハイハイ主義で行っておいでと10時頃に出かけて・16時頃にニコニコ顔で帰ってきた。

なんと~30万円戴きました・という<依頼者は結婚して3年になるけど手持ちのお金の使い道がなくてあなたに上げるわ~とか>ほう~そうなのか~そりゃ~良かった~・相性が合ったんだ~

どうやら掃除は鳩だけではなかったようで《めでたしめでたし》彼には忘れられない《美味しい仕事》になったようだ・

63)派遣業の始まりかも

それはラブホテルからだった<日々の清掃を請け負ってくれないかとのこと>取りあえず連絡先を聞き返事は保留にしてもらった、考えてみればホテル従業員は掃除担当が主になる、派遣の方が安くつくのかも~

タクシードライバーをやっているいとこに<何処か掃除屋さんはいないだろうかと尋ねると>自宅の三軒隣に数人のおばちゃんが時々集まっているけど掃除屋かもしれない・・

早速尋ねて行くとオヤジさんが一人ぼんやりと座っていた、聞けば依頼があった時にだけバイトのおばちゃん4~5人を廻し細々とやっていると云う、それならこれはイイ話なので早急に連絡をしてほしいと頼んでおいた。

その後におじさんは掃除のバイト募集を新聞広告に出していた、2年後には大阪市内のホテルに掃除係を送り込む会社として発展したようだ、解らないモノだな~これは派遣業の始まりだったんだ~オヤジさんはひょんなことから社長になった《おめでとう》

64)浮気の調査依頼がきた

いつかはくるのではと思ってはいたがやはり来たようだ・もし依頼があれば離婚はしてほしくないので・どうすればうまく解決できるだろうかと考えてもいた・依頼者は離婚目的ではなく<愛情あっての依頼であり・浮気を辞めて欲しい>のではと思ったからだった。

依頼者と会った時にそれとなく言葉をかけることにしていた<浮気とかの原因で離婚はしない方が良いですよ・だった>世間体を気にして離婚に走る人もいるだろうし・最初に言葉をかけた方が効果的かな~

最初の依頼は商店を営んでいる40代の奥さんだった・会うと即座に話を切り出してきた・予想通りというかそれなりに細かく調べている。

浮気の痕跡を調べるには<スーツのポケットや財布の中身を見たり・普段使いの車内のにおい・落とし物・ダッシュボードに指輪や避妊具を入れたまま・トランクにはプレゼント等があったりする>ので・ある程度のことは見えてくる・どうも車内に痕跡を残す人が多いようだ・

浮気の曜日や時間とかも大方の予想できているので・後は行動や身辺調査と現場の証拠写真とかを見い出してくればよい・と言う訳で早速行動を起こすことになるのだが・尾行当日に出勤してきたスタッフ一人には笑った。

何を勘違いしたのかTVドラマの探偵物語に出てくる俳優さんのような皮のジャケットにサングラスの出で立ちで出勤してきた・そんなに目立った格好じゃターゲットに感づかれるだろうと大笑いしながら、グレイ系統の目立たない服装に着替えて出発した。

それではと現場に到着し待機するのだがこれが結構難しい、2時間近くなっても出て来ないので少しばかり小腹も空き・すぐ近くの雑貨屋でパンを買って戻るとなんとその時に出かけてしまったようで、なんともドジな笑い話になってしまった。

ひとときも目が離せない、映画やTVドラマの様に格好良くはなく、ただひたすらに忍耐力を必要とする仕事なんだ~

又ある時はターゲットが高級車で高速を制限速度オーバーで走れば、そんな時に限っておいらの車は車検中でスタッフの軽自動車で追跡したのだが追いつけるはずもなく見逃してしまう。

浮気の当日

今日は必ず逢う日だから<どうしても現場を自分の目で確かめたいと云う>本来探偵事務所ではこの形は取らない、これをやるとお金にならず<その場で終わってしまうからである>だがおいらの性格なのか・解りました・それでは行きましょうと一緒に追跡していったのはいいが、

ホテルの駐車場に入庫しようとした時に奥さんは<当然>理性を押えることが出来ない・脱兎のごとく飛び出していった《あんた!なにしてんのよ~その女は誰なの》と掴みかかってゆく・ご主人はまさかのまさかでビックリ仰天!慌てふためいてしどろもどろ・浮気相手の女性はただ茫然として判断ができない・それとなくこの場を去るように手で合図をした。

こうなるだろうと予想はしていた・奥さんは怒り心頭で言葉も出ないので<お家に戻ってお話しされたらどうですか>と声をかけた・ご主人も他人に弱みを見られておとなしく従った・

奥さんは怒った分だけ治まりも早いだろう・ご主人は他人に現場を見られ恥ずかしい思いをしたことだし・これは離婚にはならないな~これで良かったようだ・ここでなにか教わったような気がした<ホテルに入る前と出た時では結果も違うだろうし>

《探偵事務所のように現場写真を撮りまくり、細かい報告書を提出すれば離婚率も高くなるような気がした》

特に芸能人は世間に晒されて離婚も多いが、この時に<私は離婚はしません、転んだ時に支えるのが私の勤めです>とかの言葉を発した方が奥さん株も上がり・仕事も増えるのではと思ったりもする、まあ~世間の目線に左右されず・自分の信念を通せば後悔もしないだろう。

二件目の依頼は少し控えめな感じの奥さんに見えたが・前回に学んだ形で<一緒に行きましょうと誘った>到着前に週刊誌を丸めて渡し・これで思いっきりご主人のお尻を引っ叩いてあげればと・その場でオロオロとしていたので<急いで急いで>とけしかけた・この時に背中を叩かれて<止めてくれと逃げ惑う>光景はコメディを観てるよう+だった・アッハハ・

浮気調査は4件だったが・いずれも離婚なく終えた<これは最初の奥さんに教わったようだ>離婚になればその犠牲者は子供になる<一生を左右する大問題だ~>片親では愛情も教育も半端になってしまう、双方にとっても良い事は何もないはずだと勝手に決め込んでいた。

知名度の高い人ほど浮気の代償は大きい・一度失なった信用を取り戻すには大変だろう・おまけに浮気相手に子どもでもできたなら・取り返しがつかないだろうし・・くわばら くわばら・・

便利屋は調査の専門業者ではないので・利益よりも円満解決のほうが楽しい・雨降って地固まるで・夫婦関係を見直すきっかけになれば・・

それにしても芸能人とかの浮気は可愛そうだ<週刊誌で暴露記事が出れば・離婚や一家離散もあり一生を左右する>記者は他人を傷つける事を解ってるはずだが<スクープ記事で雑誌が売れればイイは・道義的ではない>

一方では個人情報保護・プライバシーの侵害とかで<街中で困ってる子供に声もかけられない>友達も作れない・なにかしら矛盾を感じる・・

65)年賀状の依頼は組事務所だった

それは年末も近い12月23日だった、年賀ハガキの宛名を毛筆で書いてほしいとの依頼がきた・宛名書きにしては少し遅いのではと思いつつお伺いすると、高級マンションの一室は自宅兼・組事務所になっていた。

広めの玄関から廊下を歩くとピカピカに輝いている・周囲も綺麗に整理整頓されてスキがない<バーテンの時にこんな話を聞いた事がある>刑務所に入るとやることがないので、牢獄の中はホコリ一つもないんだ>と、ここにもそんな人が居るんだろうな~と思いつつ、

部屋に通されると組長は毅然として座っている・取り敢えずは料金を伝え・350枚の年賀はがきを預かり部屋を出た。

色々な依頼がくるだろうと各種バイトの登録者を募っていたので名簿の中から・年輩の方が間違いはないだろうと60代女性を選んで・女性宅に訪問した<年賀はがきの書きかたはおご存知ですか>と尋ねると・ハイ大丈夫です・と答えが返って来た。

名簿を見せて・この様な内容です・肩書が少しばかり多いので間違いの無いようにお願いしますねと告げ・名簿と年賀状を渡した・まあ~60代で筆書きが出来る人なら大丈夫だろう・細かく説明するのは失礼かも<これが浅はかだった>28日に貰いに行き・出来上がりのハガキを見た瞬間に『冷や汗が出た~』うわ~どうしよう・書き直すには間に合わない・

それは住所・番地・肩書・名前とか<行も列も不揃いでまとまっていない>困ったぞ・字の大きさもマチマチだったので苦労して書いてくれたんだ~頑張ったんだな~とは読み取れたが・今更しょうがない・不揃いの部分を指摘し今後はこのように書いてくださいと伝え・手当を渡して帰った。

参ったな~修正は無理だし・まずは謝るしか手立てがない・事務所に出向き組長に<この様な仕上がりになってしまいました誠に申し訳ございません>これでは料金を戴き訳にはゆきません、なにとぞご勘弁ください・お願いしますと・平身低頭に謝った・

傍にいた若い衆が、けじめをとってもらわないかんな~と言葉が聞こえてきたが、そんなことはどうでもいい・ひたすら謝り続けるしかない~組長は腕組みをしたまま・しばらくして首を縦に振ってくれた<ありがとうございました・ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした>と言葉を残して帰った、ああ~なんとか無事に治まって良かった・ホッとした・

《確かに文字数が多かった・住所の他に何代目何々組・OO組長や何々舎弟頭とかの項目の書入れがあった》

・会社関係ならもっと厳しかったかも知れない。

66)便利屋の仕事はさまざま・

結婚式を間近にした男女が事務所まで出向いてくれた、男性側に身内がいないので式場に友人や知り合いとして何人かを出席させてもらえないかと<それはそれはおめでとうございますと言葉をかけ>7人に行ってもらったが、この人はたいそうに喜んでもらえた、お祝い事だし料金も日当だけにしておいた。

自宅や部屋のゴミを処理してもらえないかとの依頼は時々ある、行けば大量の不要品やらで足の踏み場もなく、最初は<うわ~なんだこれは>と思ったが、どうやら他人ごとではないようだ、新しいモノを買って古いモノを捨てられない人は・いつかは・こうなるかもしれない。

世間体もあってか時間帯も深夜・早朝にしてほしいとか・半数は女性で片付ける気持ちになれない・体が不自由・ゴミ捨てが面倒とか理由は様々で・軽トラックならすぐに一杯になる・これを市の処理施設へと運ぶ。

公団マンションに住む60代女性は・早朝に非常階段を降りる音が部屋まで響いてくるので困っているとか、原因は新聞配達員が階段を駆け下りるようなので近くの販売所に出向き、苦情が出ているので対処するようにお願いした。

ある時はおばあちゃんがデパートに買い物行きたいと云うので一緒に付き合って貰えないかとか:4月には大阪城の花見席の場所取り依頼が数件あり前夜から徹夜で待機したり:チケットの購入:手に負えない荷物運びの手伝いとか。

<なにかとあるもんだな~>

あすか君が結婚した

スタッフ一番手の明日香君は一人引っ越しの女性宅に行った時に<縁あって彼女と結婚することになった>その後に彼は古美術品や骨董品を扱う古物商へ派遣社員として行ってもらった。

美術品・骨董品の査定や目利きが勉強できて面白いと言う<どうやら彼に合ってる仕事のようだ>結婚もしたことだし便利屋よりも良いだろうと社員として勤めるようにした・

これを機に便利屋を解散しよう

<依頼仕事もひと通り経験できたし・スタッフには先行きの見える仕事に転換して貰おう・卒業かな~>

67)古物商の相談ごとは

古物商は一般的にはあまり知られていないが<各地に美術道具市場(天下茶屋にある>そこへ物品・骨董品・美術品を持ち込みオークションに出したり・買ったりする・開催日には日常品から高価な物品迄が取引されている。

明日香君は勤めて一年後に<店でトラブルが起きて困っている>と相談にきた・じゃ~いい機会だ~応援するから独立を勧めた、スポーツ紙に骨董品買いますの広告を出して開業した、スタート直後から食えるようになったのでまずはひと安心。

数年後【なんでも鑑定団】のTV放送で骨董ブームとなり・彼も商売繁盛になった<TVの鑑定士は価格を上げるほどに当人が持つ資産価値が上がるので一石二鳥だ~>

あすか君の相談事

この頃に又相談したい事があるというので話を聞くと、某資産家の奥さんが<主人が亡くなって高価な美術品が沢山あり>それを親戚達が欲しいとねだって来るので困っている、絵画や美術品などの良いモノを選択して預かってほしい<それを倉庫に保管しているとか>

というのだが、なんと~その奥さんもハワイの別荘でお亡くなりになったという<どうすれば良いのかと>世の中にはこんな事もあるんだ~

死人に口なしか~とか言いながら笑って聞き流し・答えは出さなかった・誰かに話を聞いてもらえれば肩の荷が降りるものなので、あとは本人が決断するだろう<数千万円のモノが多数あったようだが>その後・どのように判断したかは聞くこともなく・今も知らない・

68)ギャンブルの必勝法

便利屋を辞めてなぜかホットしたような気がした・多様な仕事から解放されたせいなのかな~次は何か一人でやれるビジネスはないだろうか~と、ぼんやりと天井を仰ぎ見ながら・

あの頃は競馬場によく通ったな~その時に競馬必勝法を考案したが・あんなもの・売れるだろうか?

それじゃ~と競馬雑誌を買って広げて見てみると・あるある競馬必勝法の広告が載っている・やっぱし買ってくれる人がいるんだ~これって特殊な職業だな~何んでもいいや・これやって遊ぼう・

それでは購買数を計算をしてみよう・人口が1億人とすれば・ギャンブル人口は何パーセント・その中から買ってくれる人は何パーセント・え~と・なるほど~こんな数字かな~これ以上考えても切りがない~

あの時に考案した必勝法を想いだしつつ・原稿作り➔印刷➔おっととその前に事務所を借りなきゃ・と黒門市場近くの日本橋通りに12畳ほどの事務所を借りた、

電話受けの事務員さんを一人と・その時にどういうわけかディスコ時にウエイターをしていた上原君と日本橋で偶然に出会った、彼は失業中だったので手伝ってもらおう。

必勝法はポケットに入る手持ちサイズがいいな~まずは2000部作って<売値は一部一万円>他の必勝法の価格を参考に設定した・こういうものは特殊なので値段も高い・ギャンブルをする人にとっては藁をも掴むつもりで・何かとヒントになればと買うようだ・

売り場はギャンブル場周辺の書店に置いて貰おう・広告には販売してる書店名を載せれば書店も納得してくれるかも・これなら営業も楽だろうし・

上原君には全国の公営ギャンブル・場外馬券売り場周辺の書店に行ってもらうことにした、書店へのマージンは一冊30%の3千円にしよう(一般的には22%位)これなら置いてくれるだろう。

書店に頼みに行くと意外とスンナリだった<書店からすればマージンも高い>ただ置くだけでいい・上原君は九州熊本から北海道旭川まで行った<彼は二ヶ月で全国を旅したことになる>こんな経験はなかなかできない・ひと回り大きく成長するだろうな~おいらが20才の時に東京~札幌に行った時のように

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書店名を載せた広告を大阪・九州のスポーツ紙に出すと予想通りだった、近くに書店が無い人は毎日のように現金書留を送ってきた・

次は東京だ~広告料は大阪よりも高いが人口が多いのでそれなりに売れるかもと、大阪の広告代理店に頼むと東京の広告は扱っていなかった・電話帳で広告代理店を探し出し掲載した・

反応が速かった・掲載された翌日の午後には現金書留がきた~それも155通も来たので驚いた~やはり東京は経済規模と購買力が違うようだ~本屋の売り上げ部数も大阪の4~5倍はあった・

69)ギャンブル依存症だった

それは土曜日の午後だった・事務所で雑誌を読んでると・ピンポーンとなるので出ると、どことなく薄汚れた姿の男が立っている、東京から来たと云うので取りあえずはとソファーに座ってもらい話を聞くことにした。

35歳独身で鉄工の職人だとのこと、20才頃からボートレースに夢中になって勝ったことがなく毎月の給料と諸手当を含めて42万円は全て消えてゆくとか《東京は給料が高かった》

<驚いた~>ここまで来るとは・余程悩んだのだろう・表情も疲れはてている<これは重症だ~>

<特にボートレースは依存症になり易いと・聞いた事がある>エンジンの音を聞くと興奮するとか。

ひと通り話を聞き・答えはすぐに出た・

解りました:いいですか<私の言葉をよく聞いてください>あなたが此処へきたのは<運命です>あなたの先祖が私に会うように導いたようです・理由はね~あなたのギャンブルを辞めさせるためです。

人には向き不向きがあってね<あなたはギャンブルをやってはダメな人なんですよ>何年も負けてた人が今から勝てるようになるってことはあり得ないんです、あなたはそれに気付いていなかった【今日限りで辞めなさい】

あなたは『この言葉を聞く為に此処へ来たんですよ』

あなたの収入なら堂々と奥さんと子供を養うことが出来ます<賭け事に使ってたお金を全部奥さんにあげなさい>それが今からのあなたの生き方であり・幸せになれる道です。

もう大丈夫です<今なら間に合います>これからは自信をもって生きて行きなさい・解りましたね『すぐに奥さんを探しなさい・あなたを待ってる人がいるんですよ』

遠い地へ足を運び予想とは全く異なる説法を耳にした<帰りの列車の中で言葉を思い返せば目は醒めるだろう>これはまさに彼の先祖が導いてくれたのだと・今でもそう思ってる・

70)公営ギャンブル場巡り

ギャンブル必勝法は広告さえ出しておけば書店でそれなりに売れてゆくようだし、毎日事務所で待機していても退屈になる、それじゃ~とアルバイト男子と一緒に全国の公営ギャンブル場を廻ってみよう。

カードチラシを作成し・開催地の駐車場に止めてある車のドアーにチラシを挟んでおけば確実に見てくれる、そこから注文があれば旅の経費はできる<これなら旅と人間ウオッチングを楽しめる>おいらにはピッタリだ~とスポーツ紙で開催地を調べ二人で車に乗り出発進行・

あるある~競艇・競輪・競馬・オートレースとほぼ何処かで開催されている、おまけに日本はパチンコもありでまさに世界一のギャンブル王国だと気付く・

それにしても日々:全国のギャンブル場に投じてる金額を計算すれば一体どの位になるんだろう・おそらくとてつもない額になるんだろうな~考えると恐ろしい~

最初は徳島の鳴門競艇場だった、入口から人もまばらで館内は薄汚れて灰色だ~足元も黒く汚い・驚いた~これじゃ遊びに来ないだろう~舟券を買う気もしない・取りあえずは駐車中の車にチラシを挟んでおこう・

場内をひと周りするが食堂も汚く食べる気もしない・レース場を見渡し人を観察してはみたが・活気がなく売り上げも上がらないだろうな~此処の場長はまったく勉強不足のようだ・早々と去ることにしよう。

次は丸亀競艇場から松山競輪場・こちらの方は客数も多く賑わっていた<やはり地域差がある>ギャンブル場を視察すれば地域経済も読み取れるようだ~やはり夜の街も賑わっていた・松山のスナックのママは愛想が良かった・アハハ・

本州に戻り・小島から広島・京都・愛知県・浜名湖へと・この浜名湖の競艇場には驚かされた・何しろ綺麗だ・駐車場から場内迄全てが整備されてゴミもなく警備員も配置されている・子供の遊び場もあり女性客もいる・鳴門競艇場とは月とスッポンの差ほど違いがある~所変われば品変わるとはこのことだべ~

そうこうして四国から関東周辺まで公営ギャンブル場の人間ウオッチングと食べ飲み歩きを20日ほど楽しむことが出来た・面白い経験だった・

必勝法を買ってる人の中に記者がいたようだ、彼らも何かと参考になるモノを探しているんだ~それまでの買い方は均等買いでだったが・これを配分買いで掲載する記者が出てきた・参考にしたようだ。

これはあるだろうと・事務員に苦情対応の説明をしておいた・なにせ一万円もするものだし、ヒントにもならないと思えば文句の一つもあるかもと<ところが一件もなかったので不思議だった>

この仕事も一年以内と決めていた・友人は利益があるのになぜ辞めるんだと聞いてきたが、こういうものはひと通り売れれば尻すぼみになって売れなくなる、世代が変わって10年以上を経過してやれば少しは売れるかもと説明した。

と言う訳でこれも卒業しようと・広告代理店へその旨を伝えると、担当 の清水さんが今度は競馬の予想屋をやってくれないかと何度も勧めてきたが<それはやらないと決めていた>今もスポーツ紙やネットで元騎手・元調教師等が的中・的中と煽ってはいるが・

コレだけはいつも当たるものではない、中には20代の若い女性を表に出して勝利の女神とか・そんな文句に騙される方も無知すぎる・中には一点張りで的中なんてものは嘘も甚だしい・

この手の予想屋は登録料をだまし取り・頃合いを見ては社名を変更して又繰り返している・余程に人を騙すことが好きなようで・これは詐欺の世界になる・なのに広告屋の清水さんはやってくれと頼んでくる・彼はそれも仕事なんだろう。

集金旅行に行った

この仕事には付録がついて来た、本屋さんはお堅い人ばかりと思っていたが<そうでもなかった>振り込み予定日が過ぎ・催促しても支払わない店が数件あった<京都・山梨・群馬・埼玉・福島>へ遊びがてらに関東地方をひと回り集金旅行を楽しんだ<在庫の残りは売れれば小遣いにして下さいと言っといた>

P-8につづく

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